その太鼓チームに指定された稽古場に向かう時、地図を見てみると、あの九十九里浜が近かった。
どうせならこの浜を久しぶりに見てみたいと思っていた僕は、少し早めに出発することにした。
自宅から約二時間半、車を走らせて現地に入ると、長く横に続く松林がまず見える。
野手浜、という表示があったところで車を停めた。
海は見えないけれど、そこはもう浜に違いない。
車から降りてドアを閉めると、静寂の中に海鳴りだけが響いていた。
地鳴りのような音だ。そして潮の匂い。
そこから歩いた。
昔はこの砂山がもっともっと続いたというが、今の僕は新鮮な思いでこの砂山を踏みしめていた。
地鳴りのような音が、波のざわめき音に変わって海が見えた。
この広さでも充分に凄いのだけれど、昔はこんなものではなかったと思う。その浜を見ただけで度肝を抜かれたくらいだった(今でも、他の場所では九十九里浜の凄さを体感することができるそうですが)。
後から聞いたけれど、やはりこの浜でも砂の浸食が激しく防波堤を作ってしまったので、昔の景観ではないという。
この30年ほどの変化はやはり相当なものなのだろう。
それでもここに来ると、海に圧倒される。日本は海に浮かぶ島国だと改めて思った。
声を掛けていただいたのは、千葉県匝瑳(そうさ)市の野栄(のさか)太鼓さんで、やはり海鳴りが聞こえてくるような太鼓チームでした。
この浜で太鼓の音がどのように響くのか、この浜でどんな太鼓を叩いてみたいのか、
そんな太鼓チームになって欲しいと思いました。
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