第一日目(通算十八日目)〜歩き遍路富田打ち2014 | 富田和明的太鼓日記『その日の気分打!』

富田和明的太鼓日記『その日の気分打!』

太鼓打ち・富田和明の、太鼓と関係あることないことをその日の気分で綴る、和太鼓ドンドコ日記

前日から心配していた台風11号は去った。

島の朝は快晴だ。


朝六時三十五分 淡路島津名港発、徳島行きバスに乗る。

こんなバスがあったんだ。


hen1430


一日二本しかないバスだ。これがあって良かった。


hen1431


徳島からはJRで高知県四万十市中村まで行く予定が、阿波池田から高知が浸水の為不通になっていて、

その区間だけがバスで振替運行になっていた。

そして、高知から中村まではまたJRで二輛編成の鈍行列車で向かう。


JR徳島駅構内に立って列車を待っていたら、おばさんが来て100円玉を一つ僕の掌に握らせた。

「私もお参りしているのよ」と、

今回の旅での初接待を受ける。

ありがたい。


お盆なので人が多い。中村行きの鈍行列車もほぼ満杯に近く、驚いた。



h1


hen1401



予定では、午後1時半に中村駅に到着して歩くつもりだったが、

台風の影響で、着いたのは午後3時15分。

それからスタート。


hen1402


昼飯も食べていなかったので、まずはコンビニに入って腹ごしらえをした。


弁当を食べて、

水とカロリーメイト、バナナなどを買う。

今回のリュックはシュラフも入れて約6キロ。

かなり軽くしたつもりだけれど、水と食べ物を入れると約8キロになるだろう。

トイレもしっかり入って、さあ出発!


天気はくもり。

時々少しだけ晴れ間が見えた。



hen1405


hen1406


歩き出して30分ほどか過ぎて、気が付いた。


杖を持っていないことに。


コンビニに忘れたようだ。


すでにお遍路に出て三本目の杖である。

これはもうなくしてはいけないと、前々回の旅中に、杖に般若心経を写経してコーティングまでしてあった。

それを置いて来た。


歩きはじめの一日目は気をつけなくてはいけないと、あれほど注意していたのに、

のっけからやってしまった。


ガッカリだが、戻る気にはなれず。

ここで杖に別れを告げた。御免よ。ここまでありがとうな。

一年間僕のトラックの助手席上に飾ってあったから。

いつも一緒だったのに、お遍路に出てお早いお別れ。



天気はそんなに暑くもない。雨の心配もなさそうだ。


hen1403



コンビニから歩くこと四時間。


四万十市と土佐清水市の境にある新伊豆田トンネルを抜けると、ドライブイン水車が見えてくるはずだった。

ここで今夜は生ビールと夕食にありつけると思っていたら、この店が潰れていた。

山の中で人の気配がまったくない。


この閉鎖されたドライブインのすぐ近くに、トイレ付きの休憩所がある。


午後7時半、陽も暮れて来ていた。

ここから先の町までは、まだ5キロある。今日はここまでだ。


hen1407


と、

前のベンチにお遍路さんが一人座っていた。


今回初めて会ったお遍路さん。

名古屋から来た人で、台風の間は危険でないところに避難していたという。

この人はテントを持っていて、近くの小高い場所にテントを張ったらしい。


僕はトイレ前のベンチ下に寝ることにした。

ベンチの幅が寝るには狭いので、下の石畳の方が広い。


この休憩所はとてもきれいだった。

初日にとてもラッキー。水で体を拭いて、洗濯を少しして干した(乾かないだろうけれど)。

自動販売機でジュースを買い、カロリーメイトを食べて、もう寝ることにする。

午後8時半だ。



こんな時間には眠れないだろうが、暗いし、他にすることもない。

石畳の上にビニールシートを一枚敷き、薄い夏用のシュラフを敷いて、その上に僕は横になる。


長袖長ズボン姿。不思議と蚊は来なかった。

虫コナーズが効いていたのだろうか。



当然、夜もトイレに人はやってくる。

人が来ると入口のセンサーが反応して灯りが付くが、僕はアイマスクをしているので判らない。

その足音だけを聞いている。


三人(三度)までは覚えている。

車のドアを閉める音が聞こえてこちらに歩いてくる。全部女性だった。

靴音が女性用のツッカケの音だったからだ。

石畳の上に直接寝ている僕にはよく響いて聞こえたが、姿は見ていない。

その後、寝たようだ。



目が覚めた。

朝かと思って時計を見たら、午前0時半すぎ。


咽が渇いたので、起きて自動販売機で飲み物を一缶買う。

もう一度アイマスクをして横になったところで、暫くしてまた一人、トイレにやって来る靴音が響いた。


こんな夜中によく来るもんだ。

山の中のトイレに。

しかも女性(の足音)。



気にすると恐くなるので、考えないように考えないようにして、‥‥‥そのまままた眠ってしまったようだった。



曇り時々晴 泊/ドライブイン水車近くの休憩所

歩き4時間、約15.5キロ。



台風が 去って出かけた 遍路道 空も心も まだ曇るまま







富田和明的太鼓日記『その日の気分打!』-202020富田和明的2020年日記、毎日配信中!